中国アリババが、初のAIスマートグラス「Quark AI Glasses」を中国で発売しました。
モデルはディスプレイ付きのS1と、軽量なG1の2種類。
どちらもアリババ独自の大規模言語モデル「Qwen(千問)」を載せた“AIアシスタント内蔵メガネ”という位置づけです。
価格は中国でG1が1,899元(約4万円台), S1が3,799元(約8万円台)と報じられており、見た目はほぼ普通の黒縁メガネに近いデザイン。
アリババの決済サービス「Alipay」やEC「Taobao」などと連携し、翻訳・ナビゲーション・価格比較・決済などを、視界と音声だけでこなせる“生活アシスタント”を目指しています。
さらに、バッテリーを交換しながら最大24時間使えるとされており、「1日中つけっぱなし前提のガジェット」としても話題になっています。
Quark AI Glassesの特徴と機能を整理
S1 / G1 2つのモデルの違い
各メディアの情報をまとめると、Quark AI Glassesは大きくこの2モデル構成です。
- Quark S1
- 透明なマイクロOLEDディスプレイ搭載(視界に文字やアイコンを表示)
- カメラ・骨伝導マイク内蔵
- 価格は約3,799元
- “情報表示がっつり派”向け
- Quark G1
- ディスプレイなしの軽量モデル(約40g前後)
- 音声アシスタント中心の使い方
- 価格は約1,899元
- “音声イヤホン+AI”的な日常使い向け
どちらも「普通のメガネにかなり近い細さ・軽さ」を意識したデザインで、テンプル(つる)が一般的なAIグラスより約40%薄い、と紹介している記事もあります。
Qwen AI+アリババサービス連携で何ができる?
主な機能は次の通りです。
- リアルタイム翻訳
- 会話や看板などを聞き取り、即座に翻訳
- ナビゲーション
- 地図サービス「Amap」と連携し、視界にルートや案内を表示
- ショッピングサポート
- Taobaoと連携して、商品の価格比較や情報表示
- Alipayと連携したキャッシュレス決済
- 会議メモ・議事録の自動生成
- 音声をテキスト化し、要点をまとめる
- 音楽・通話
- QQ MusicやNetEase Cloud Musicなどと連携し、ハンズフリーで再生・通話
要するに、「スマホでやっていたことの一部を、画面を見ずにこなしながら歩ける・家事できる」ようにするウェアラブルというイメージです。
24時間バッテリー&交換式という“生活ガチ仕様”
ほかの記事によると、Quark AI Glassesはスロット式のバッテリーモジュールを両側に搭載し、減ったら入れ替えればOKという構造で、最大24時間の利用も想定されています。
スマートグラスは「バッテリーが半日しか持たないと、ただの高いおもちゃで終わる」という声も多いため、ここは“日常で使い続けられるかどうか”を左右するポイントになりそうです。
AIスマートグラスは結局何に使う?生活シーンで考える
こうして特徴をまとめて見ても、「で、スマートグラスって何に使うものなの?」という素朴な疑問が何度も出てきますよね。
そこで、Quark AI Glassesを含むAIスマートグラスの使い道を、日常シーン別にイメージしてみます。
1. 通勤・通学:スマホを出さないナビ&情報チェック
- 駅まで歩く間、視界の端にルート案内だけが表示される
- メッセージや予定の通知をチラ見するだけで確認
- 満員電車の中でも、スマホを取り出さずに音声でリマインダーを追加
→ いちいちポケットからスマホを出す動作が減るので、時間も集中力も削られにくくなります。
2. 買い物:値段チェックと支払いを“視界の中”で
Quark AI Glassesは、商品のバーコードや値札を認識して価格を比較する機能や、Alipayでの支払いに対応するとされています。
- スーパーで価格を見比べながら、お得な商品だけサッと選ぶ
- ネット通販のセール中、視界に値下げ情報が出る
- 財布もスマホも出さずに、視線+音声だけで決済
「価格を調べて比較する手間」や「レジでの小さなストレス」が減り、お金の使い方をコントロールしやすくなるかもしれません。
3. 旅行・出張:翻訳+ナビが“ずっと隣にいるガイド”に
リアルタイム翻訳とナビ機能は、海外旅行や海外出張との相性がとても良さそうです。
- 現地の標識やメニューに日本語訳を重ねて表示
- 人混みの中でも、矢印だけを静かに表示して迷わない
- 現地の相手の話を聞きながら、字幕のように翻訳が出る
→ 通訳アプリを開く手間がなくなるので、「楽しむこと」「話すこと」に集中しやすくなります。
4. 仕事:会議メモと“ながら情報チェック”
会議中はPC画面のメモに集中すると、相手の表情が見えなくなる問題がありますよね。
Quark AI Glassesが想定しているのは、
- 会話を聞きながら自動で議事録を作る
- 視界のすみっこに重要なキーワードだけ表示
- 会議後、自動で要約とToDoを確認
といった、“メモ係をAIに任せる”ような使い方。
仕事終わりの「議事録を書き直す残業」が減ると、時間も気力もかなり節約できるはずです。
SNSやQ&Aで見える「モヤモヤ」
1. 「そもそも何に使うの?」問題
さまざまな場所で、「スマートグラスって何に使えるの?」「スマホでよくない?」という質問・記事が継続的に投稿されています。
それは“具体的な生活シーン”がイメージしにくいことが、購入を迷わせる大きな要因になっているようです。
2. 「人目が気になる」「恥ずかしい」問題
レビューやブログでは、
- 外でかけるのは人目が気になる
- 家族に見せるのがなんとなく恥ずかしい
といった本音もちらほら。
3. 「高いのに、すぐ古くなりそう」問題
スマートグラスが流行らない理由を分析した記事では、
- 価格が高い
- 技術進歩が早く、すぐ型落ちしそう
- 対応サービスが限られていて、“宝の持ち腐れ”になりがち
といった指摘も。
4. 「プライバシー大丈夫?」問題
カメラ付きグラス全般への懸念として、
- 周囲の人が「撮られているかも」と不安に感じる
- カメラON/OFFが外から分かりづらい
など、自分だけでなく周囲の心理的負担も課題とされています。
Quark AI Glassesで生活は何がラクになる?
ここからは、「AIスマートグラスでどんな“ラクさ”が手に入るか」を、少し冷静に見てみます。
時短・効率化のポイント
- スマホを取り出す回数が減る
- ルート確認や通知チェックを一瞬のチラ見で済ませられる
- メモの自動化
- 会議メモ、買い物リスト、リマインダーなど、“覚えておく”負担をAIに渡せる
- 翻訳・検索のショートカット
- 「看板を見て→アプリを開いて→カメラを起動して…」という手順を飛ばせる
結果として、「こまごました操作時間」+「覚えておくストレス」が減り、頭の空き容量が増えるイメージです。
メンタル的な“軽い安心感”
- 海外でも「とりあえず翻訳とナビがある」という安心
- 会議中でも「あとでAIが要点を出してくれる」という安心
- 買い物で「値段をちゃんと比較できている」安心
みたいな、“ちょっと心が軽くなるタイプの安心感”を支えるガジェットになり得ます。
注意点・限界:今すぐ飛びつくべき?
1. そもそも日本で買えるの?
現時点の報道では、Quark AI Glassesは中国市場で販売開始、海外版は来年以降とされていますが、どの国でいつ出るかはまだ明言されていません。
日本から直接買えるのか、日本語対応や国内サービスとの連携がどうなるかは、今のところ不透明です。
2. 中国サービス連携前提という前提条件
Quark AI Glassesの強みは、
- Taobao(EC)
- Alipay(決済)
- Amap(地図)
- 中国系音楽ストリーミング
といったアリババ圏のサービスとの密な連携にあります。
そのため、日本に住んでいるユーザーがそのまま同じ体験を得られるかどうかは、サービス対応次第です。
3. プライバシー&周囲への配慮
- やはりカメラ付きである以上、前述の通り「撮られているのでは?」という周囲の不安はつきまといます
- これはQuarkに限らず、Ray-Ban Metaや他のAIグラスにも共通する課題です
実際に使うときは、公共の場ではカメラ機能をオフにする/撮影時は必ず声をかけるなど、マナー面の工夫が必要です。
4. 目の疲れ・つけっぱなし問題
他社のスマートグラスのレビューでは、映像はきれいでも、長時間使うと目が疲れるという声もあり、ディスプレイ付きグラス共通の課題になっています。
Quark S1も“24時間使える”とはいえ、ずっと見続けるのではなく、必要なときにサッと見るくらいの使い方が現実的になりそうです。
どんな人に向いている?誰は様子見?
向いていそうな人
- 海外旅行・海外出張が多く、翻訳とナビをよく使う人
- オンラインでの買い物・キャッシュレス決済が多い人
- 会議や打ち合わせが多く、議事録づくりに時間を取られている人
- スマホの“ながら見”を減らして、画面時間を短くしたいと感じている人
- 新しいガジェットで、生活導線を見直すのが好きな人
まだ様子見でも良さそうな人
- 顔まわりのデバイスに、どうしても抵抗がある人
- カメラ付きガジェットで、周囲の目線が気になる人
- 中国サービス連携よりも、日本語対応・国内サポートを重視したい人
- まずは「XREAL」「Halliday Glasses」「Ray-Ban Meta」など既存スマートグラスの動向を見てから決めたい人
集めた“悩み”への回答セクション
Q1. スマートグラスって、結局何に使うの?
一言でいうと、
「見る・聞く情報を、手ぶらのまま増やしたり整理したりするためのデバイス」
です。
ナビ、翻訳、通知確認、メモ、動画視聴など、スマホでやっていることの一部を“目と耳のそばに持ってくる”イメージ。
Quark AI Glassesはここに、ショッピングと決済、会議メモといった「生活+仕事」の要素が強めに足されています。
Q2. 人前でつけるのが恥ずかしい・浮きそう
→ デザイン面では、
- 「普通のメガネにしか見えない」ことを重視した製品も増えていますし、
- Quark AI Glassesもフレームの細さ・軽さが大きなウリになっています。
いきなり街中で使うのが不安なら、
- 自宅だけで使う
- 通勤電車の中だけで動画を見る
といった、“自分が気になりにくい場所”から慣らしていくのも1つの方法です。
Q3. 日本でもすぐ使えるようになる?
→ 報道ベースでは、
- 中国で発売開始
- 「海外版は来年以降」とされるが、国・時期は未公表
同じタイミングで、他のAIグラスも日本向け展開が進んでいるので、
- Halliday Glasses(日本語対応でクラファン予定)
- GoogleとXREALによるProject AuraなどのAIグラス
「どのブランドのエコシステムに乗るか」を含めて、少し長い目で見て選ぶことになりそうです。
Q4. 目が疲れたり、すぐバッテリー切れになったりしない?
- 目の疲れに関しては、他社グラスのレビューでも「長時間の連続利用は疲れやすい」という声があります
- 一方で、Quark AI Glassesはバッテリー交換式+最大24時間利用という設計で、バッテリー切れはかなりケアされています。
→ “長時間つけっぱなしで常に画面を見る”よりも、“必要なときだけ情報を呼び出す”という使い方をすれば、負担も抑えやすいはずです。
まとめ:AIスマートグラス元年、どう付き合う?
- アリババの「Quark AI Glasses」は、
- 翻訳・ナビ・価格比較・決済・会議メモをまとめてこなす
- “生活と仕事の間”をつなぐAIスマートグラスとして登場しました
- 一方で、
- 「何に使うのかイメージしづらい」
- 「人目が気になる」「価格が高い」
- 「日本での対応がまだ見えない」
といったモヤモヤも、SNSやQ&Aでは根強く見られます。
今の段階でできることは、
- 自分の1日の生活導線をざっくり振り返る
- 「ここがAIスマートグラスだったらラクになりそう」という場面があるか探す
- そのうえで、
- まずは情報収集だけにしておく
- 既に日本で買えるスマートグラスを試してみる
- Quarkを含め、来年以降の動きを待つ
といった“ゆるいスタンス”で付き合うことかもしれません。
当ブログとしての結論としては、
Quark AI Glassesは、「スマホで分断されがちな時間や集中力を取り戻す」可能性を持ったガジェット。ただし、日本での本格利用はまだ“様子見フェーズ”。
くらいの温度感で、情報をウォッチしておくのがちょうど良さそうです。


