Copilotやチャット型AIが当たり前になってきた2025年。
「とりあえず入れてはみたけれど、結局ちゃんと使えていない」という声は、まだまだ多いです。
最近のユーザーの声を眺めていると、よく出てくる悩みはこんなものです。
- 何をどう書けばいいか分からず、プロンプトを考えるだけで疲れる
- 人によって指示の書き方がバラバラで、出てくる結果もバラバラ
- 一度うまくいったプロンプトを、あとから探し出せない
- Copilot用のプロンプトと、他のAI用のプロンプトの違いがよく分からない
実は、「AIが賢くない」のではなく、プロンプトの“型”がチームで共有されていないことが原因になっているケースがかなりあります。
この記事では、
- Copilotで仕事効率化に使えるプロンプトの基本の型
- メール・会議・資料などで使える具体的なテンプレ例
- それをチームでムリなく共有するシンプルなルール
をまとめていきます。
Copilotまわりの最近の動き:「プロンプトを共有する」時代に
Copilot Prompt Galleryで「保存・共有」が標準機能に
2025年に入り、Copilotにはプロンプトを扱う機能が次々と追加されています。たとえば、
- プロンプトギャラリー
- よく使う指示文を保存しておき、あとから呼び出せる
- Word / Excel / PowerPoint / Outlookなど、アプリ別のおすすめプロンプトも用意
- 保存・共有機能
- 自分が作ったプロンプトを保存し、チームメンバーと共有できる
- 「いいね」して他の人のプロンプトをストックすることも可能
- 管理者向けのエクスポート機能
- チームで共有されているプロンプトを一覧に出力し、棚卸しやルール整備に活用できる
一方で、「チーム向けに保存したプロンプトが画面の奥の方にあり、見つけづらい」といった声も出ています。
つまり、“仕組み”は整ってきたが、どう使いこなすかはまだ試行錯誤中という段階です。
プロンプト管理・共有ノウハウが一気に増えた
同じ時期に、企業向けの解説記事でも、
- プロンプトの命名ルールやタグ付け
- フォルダ分け・一覧表での管理のしかた
- チームでのレビュー・改善サイクル
など、「プロンプトをチームの資産として管理する」ノウハウがまとめられるようになってきました。
ニュースとしての流れを一言でまとめると、
「良いプロンプトは“個人の勘”ではなく、“チームで育てるテンプレ”へ」
という方向に、世の中全体が動いている、ということです。
まず押さえたい:「仕事効率化テンプレ」の基本構造
いきなり難しいテクニックに飛びつく前に、
“これさえ入っていれば最低限OK”という基本構造を押さえておきましょう。
さまざまなプロンプト解説を整理すると、構造は次の4〜5要素に落ち着きます。
- 目的(何をしてほしいか)
- コンテキスト(前提・背景)
- 入力データ(どの情報を使うか)
- 出力形式(どんな形で欲しいか)
- (あれば)制約条件・トーン(文字数・敬語など)
例:メール返信テンプレ(Outlook+Copilot)
- 目的:返信文のドラフトを作る
- コンテキスト:社外向けの案内メール
- 入力データ:元メール本文
- 出力形式:件名+本文、箇条書きなし
- 条件:敬語・丁寧語/200〜400文字
これをそのままCopilot用に組み立てると:
以下のメールに返信する文章の案を作ってください。
・宛先は社外の担当者です。
・件名と本文をセットで出力してください。
・本文は日本語の敬語で、200〜400文字程度。
・構成は【結論→背景→お願い】の順にしてください。<ここに元メールの本文を貼り付ける>
という“型”になります。
1度この構造を身体で覚えてしまうと、
会議メモや資料アウトラインなど、別の用途にもそのまま応用できます。
すぐ使える!Copilot向け「仕事効率化テンプレ」例
ここからは、実際の業務でそのまま応用しやすいテンプレをいくつか紹介します。
※あくまで“叩き台”なので、チームに合わせて自由に調整してください。
① メール対応テンプレ(Outlook)
重要メールの要約+返信案
以下のメールの内容を、①要点 ②相手の要望 ③こちらが取るべきアクション の3つに分けて箇条書きで整理してください。
そのうえで、日本語のビジネスメールとしての返信案を1つ作ってください。
返信案は、結論→理由→次のステップの順番で200〜300文字程度にしてください。<ここに元メールの本文を貼り付ける>
英文メールの作成
以下の日本語メモを元に、社外向けの英語メールを作ってください。
・丁寧だがフレンドリーなトーン
・300語以内
・件名と本文をセットで<ここに元メールの本文を貼り付ける>
② 会議メモ/議事録テンプレ(Teams)
会議の要点整理
以下はオンライン会議のメモです。
この内容から、①会議の目的 ②話し合われた主要トピック ③決定事項 ④各メンバーのアクションアイテム を日本語で箇条書きにしてください。
それぞれの箇条書きは3〜7行程度にしてください。<ここに元メールの本文を貼り付ける>
自分のタスクだけ抜き出す
以下の会議メモから、『あなた=◯◯(自分の名前)』に関連するタスクだけを抜き出し、
・タスク内容
・期限(書かれていれば)
・依頼元
の3項目で一覧表にしてください。
③ 資料・長文の要約テンプレ(Word / OneNote)
仕様書や提案書のざっくり把握
以下の文書の内容を、プロジェクトに初めて参加するメンバー向けに説明するとしたら、
①全体の目的 ②重要なポイント5つ ③注意すべきリスク の3つに分けて要約してください。
専門用語はなるべくやさしい言葉に言い換えてください。(文書を貼る or ファイルを指定)
④ Excelのざっくり分析テンプレ
この表(売上データ)をもとに、
①全体の傾向(伸びている/落ちている)
②注目すべき商品・期間
③次に見るべき指標
を、非エンジニアでも理解できるように文章で説明してください。
最後に、グラフ化するならどの軸・項目が良いかも提案してください。
「テンプレをチーム資産にする」共有ルールの作り方
テンプレが増えてくると、今度は
「どこに何があるか分からない」
「更新されているのか古いのか分からない」
という別の悩みが出てきます。
ここでは、専門的なITスキルがなくても回しやすい、シンプルな運用ルールを4つに絞ってみます。
1. 名前は「用途+アプリ」でそろえる
例)
- 【メール返信】社外/クレーム対応/日本語/Outlook
- 【議事録】30分会議の要点整理/Teams
- 【要約】プロジェクト仕様書/初参加メンバー向け/Word
「用途」と「使うアプリ」が一目で分かるだけで、検索性がグッと上がります。
2. タグを3つまでに絞る
Copilotのプロンプトギャラリーや社内ノートに保存する際、
- 業務カテゴリ(営業/バックオフィス/人事など)
- シーン(メール/会議/レポートなど)
- 難易度(初級/中級 など)
のように最大3つまでタグを付けるルールにしておくと、後から探しやすくなります。
3. 保管場所を「1か所」に決める
- Copilot Prompt Gallery
- チームのノートスペース
- 社内Wiki
など、選択肢はいろいろありますが、「基本はここを見る」場所を1つに決めることが重要です。
Copilotのプロンプトギャラリーは、個人保存だけでなくチーム単位の共有も想定して設計されていますし、管理者がまとめて一覧を出力することもできます。
4. 月1回、「人気テンプレ会議」で振り返る
- 直近1か月でよく使われたテンプレ
- 逆に使われなくなったテンプレ
をざっくりピックアップして、
- 改善する
- 統合する
- 廃止する
といった「棚卸し」を短時間で行うだけでも、テンプレ群の鮮度が保たれます。
この会議をオンラインで10〜15分程度にしておけば、
「使うほどテンプレが育つ」感覚がチームに共有され、自然とAI活用が広がりやすくなります。
SNSや口コミに見える「プロンプト疲れ」と、その解消のヒント
実際の投稿やレビューを眺めていると、こんな本音が見えてきます。
- 「毎回ゼロからプロンプトを書くのがストレス」
- 「人によって書き方が違うから、同じ仕事なのにアウトプットがバラバラ」
- 「Copilot用のプロンプトなのか、他のAI用なのか、自分でも分からなくなる」
- 「チーム向けプロンプトを保存したのに、どこから出せるのか分かりづらい」
これらをまとめると、“AIそのもの”より、“AIに指示するための作業”が新しい負担になっていると言えます。
この記事で紹介した「基本構造+テンプレ+共有ルール」は、
- 毎回ゼロから考える時間を減らす(時短)
- チーム全体の品質をそろえる(ナレッジ共有)
- “書き方が分からない不安”を減らす(メンタル負担の軽減)
という3つの面で、この「プロンプト疲れ」を和らげることを狙っています。
注意点・限界:テンプレがあっても“丸投げ”はNG
1. どんなテンプレでも「必ず人が最終チェック」
Copilotは便利ですが、
- 文脈を誤解する
- 事実と異なる内容をそれらしく書く
といったリスクは、今も完全にはなくなっていません。
特に、契約・価格・スケジュール・機密情報などに関わるメールや資料では、
- 数字
- 固有名詞
- 期限や条件
などを人間が必ず確認する前提で使うのが安心です。
2. テンプレは「7割完成」くらいの意識で
テンプレは便利ですが、状況にピッタリ合った万能版にはなりません。
- 相手との関係性
- 会社ごとの文化
- プロジェクトの背景
によって、細かい言い回しや強調ポイントは変わります。「毎回ゼロから書くのはやめて、7割までAIに運んでもらう」ぐらいの感覚でいると、ストレスが少なく使い続けられます。
このやり方はどんな人・チームに合っている?
向いているケース
- メールや会議が多く、毎日のようにCopilotやチャットAIを開いている人
- チーム内で「人によってアウトプットの質がバラバラだ」と感じているマネージャー
- IT部門でなくても、現場主導でAI活用を進めたい小さなチーム
少し工夫が必要なケース
- PC作業より現場作業が中心で、そもそもCopilotに触れる時間が短いチーム
- チームメンバーのITリテラシーが大きくばらついている職場
- 情報管理ルールが厳しく、「どこまでAIに入力してよいか」のガイドラインがまだ整っていない環境
この場合は、
- まずは「メール」か「議事録」のどちらか1分野に絞る
- テンプレも3〜5個に限定して試す
といったスモールスタートの方が、無理なく定着しやすくなります。
「集めた悩み」への回答セクション
悩み①:毎回プロンプトを考えるのがしんどい
→ 基本構造(目的・コンテキスト・入力データ・出力形式・条件)を固定し、用途ごとのテンプレを用意する。
一度型を決めてしまえば、あとは中身を差し替えるだけで済みます。
悩み②:人によって出力品質がバラバラ
→ テンプレをチーム共有し、「名前の付け方」「タグ」「保管場所」を統一する。
「この用途ならこのテンプレ」という共通言語ができることで、アウトプットのばらつきはかなり減ります。
悩み③:チームでどう管理・共有すればいいか分からない
→ Copilotのプロンプトギャラリーや社内ノートを“1か所のハブ”に決め、月1回の見直しタイミングをセットする。
専門的なツールを使わなくても、保存場所とレビューの場さえ決めてしまえば、運用は驚くほどシンプルになります。
まとめ:プロンプトテンプレは「チームの思考のショートカット」
この記事で紹介したポイントをまとめると、次の3つになります。
- 仕事効率化テンプレには“共通の型”がある
- 目的/コンテキスト/入力データ/出力形式/条件
- メール・会議・資料など、よく使う場面ごとにテンプレを用意する
- 朝一のメール処理、会議後の議事録、長文の要約など
- テンプレは個人ではなくチームで育てる
- 命名ルール・タグ・保管場所・見直しタイミングをゆるく決めておく
AI界隈としては、Copilotのプロンプトギャラリーや保存/共有機能の強化が進み、
「プロンプトを個人の技のままにしておかない」方向に変化が起きています。
生活者目線では、これをうまく取り入れることで、
- 「とりあえず朝イチのメール山崩しが早く終わる」
- 「会議後のメモ地獄から解放される」
- 「プロンプトを考えるモヤモヤが減り、作業開始までの腰が軽くなる」
といった“仕事の導線”の改善につながっていきます。
まずは、この記事の中から1つだけテンプレを選んでチームで試してみるところから。
そこから少しずつ、あなたの職場の“AIとの付き合い方”が変わっていくはずです。
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