2025年に入ってから、タスク管理アプリの「AI化」が一気に進みました。
たとえば人気アプリのAny.doは、2025年のアップデートで「AIタスクプランナー」機能を強化。
タスクの内容を分析して、実行するのに向いている時間帯を自動で提案してくれるようになりました。
さらにChatGPTとの連携で、「出張準備」などざっくりした予定を入れると、必要なサブタスクを自動で分解してくれると紹介されています。
また、App Storeには「自分のやることリスト:AIタスクプランナー」のような、最初からAI前提のToDoアプリも登場しています。
一見、とても心強い流れです。
ただ、SNSやブログを眺めていると、こんな本音も見えてきます。
- 「やることリストを作れば作るほど、むしろ疲れる」
- 「AIでタスクが自動追加されて、リストがパンパンのまま」
- 「アプリは入れたのに、肝心の“余裕”は増えていない」
AIがタスク管理を助けてくれるはずなのに、気持ちの面ではあまりラクになっていない——そんなモヤモヤを抱えている人が、実はかなり多そうです。
この記事では、
- 今のAIタスク管理ツールが何をしてくれるのか
- それでも「タスクが減った実感」が持てない理由
- ChatGPTなどを使った「やらないことリスト」の作り方
- 日常生活での具体的な使い方・注意点
を、できるだけ生活目線で整理していきます。
Any.doのAIタスクプランナーなど、いまのAIタスク管理ツールでできること
タスクの「いつやるか」をAIが提案してくれる
Any.doのAIタスクプランナーは、登録したタスクの内容から、実行するのに適した時間帯を自動で割り当てることを売りにしています。
たとえば「レポート作成」は集中しやすい午前中、「メール返信」はすき間時間の午後、というようなイメージです。
同じように、海外のClickUpやTimeHeroなども、AIが締め切りや優先度、空き時間を見ながら、タスクをカレンダーに自動で配置する機能を前面に出しています。
紙の手帳や通常のToDoアプリと違って、
- 「いつやるか」を自分でいちいち考えなくていい
- 忙しい日にタスクが自動で後ろ倒しになったりする
といったところが、AIタスクプランナーの大きな特徴です。
タスクの分解・拾い漏れ防止をAIがサポート
AIタスク管理ツールの多くは、「タスクを細かく分解する」サポートも重視しています。
- 「出張の準備」と入力すると
- パスポート確認
- ホテル予約
- 現地の天気確認
- 持ち物リスト作成
といったサブタスクを自動生成してくれる例が紹介されています。
また、会議メモやメール本文をまとめてAIに投げて、「やるべきことだけ抽出してリスト化してもらう」という使い方を解説した記事も増えています。
抜け漏れを減らすことと、タスク分解の手間を省くことが、AIタスク管理ツール全体の共通コンセプトになりつつあります。
それでも「やることリストが減らない」と感じる理由
こうした機能が充実してきているのに、「忙しさそのものはあまり変わっていない」と感じる人が多いのはなぜでしょうか。
1. AIが“やること”を増やす方向に働きがち
AIタスクプランナーは、基本的に「やるべきことを漏れなく出す」のが得意です。
- やらなくてもギリギリ何とかなるタスク
- 生活を守るための最低ライン以上の「理想タスク」
も含めて、きちんと洗い出してくれます。
その結果、
「抜け漏れは減ったけれど、リストの量はむしろ増えた」
という感覚になりやすいんですよね。
実際、タスク管理に関する体験談でも、「やることリストを書けば書くほど疲れていく」という声が目立ちます。
2. 「全部大事」に見えて、優先順位がつけづらい
AIにタスク分解を頼むと、きれいなリストが並びます。
けれど、人間の側から見ると、
- どれもそれなりに重要に見える
- 「今日はここだけやればOK」という線引きが難しい
という状態になりがちです。
AIタスク管理ツールの比較記事でも、アプリを選び間違えると、生産性が下がったり、ストレスの原因になるという指摘があります。
「きれいなリストはできたけれど、気持ちはちっともラクじゃない」——これは、タスクの「量」と「意味づけ」が切り離されている状態とも言えます。
3. アプリ運用そのものが“新しいタスク”になる
新しいアプリを入れると、
- 初期設定
- ラベルやプロジェクトの設計
- 運用ルールを決める
といった作業がついてきます。
タスク管理ツールの解説記事でも、「自分の働き方に合わないアプリを選ぶと、導入の手間だけかかって元のやり方に戻ってしまうリスクがある」と警告されていました。
つまり、
「タスクを減らすためのアプリ運用が、別のタスクになってしまう」
という逆転現象が起きやすいのも、今のAIタスク管理あるあるです。
SNSやレビューに見える本音:便利だけど、ちょっと疲れる
実際のユーザーの声を見てみると、AIタスク管理には次のような両面があります。
- 「Notion AIでやることリストを管理したら、タスク管理がラクになった」というポジティブな体験談。
- 一方で、「タスクを書き出したら理想が高すぎて、見るだけで疲れる」「リストが増えすぎて手が止まる」といったネガティブな面も。
- Redditなど海外コミュニティでも、「タスクが多すぎて圧倒されるとき、どのアプリが一番マシか?」という相談が定期的に上がっています。
「ツールとしては便利。でも、完璧に使おうとするとしんどい」
今のAIタスク管理に対する空気感は、このあたりに落ち着いている印象です。
AIで「やらないことリスト」を作るという発想
そこで、ここ数ヶ月でじわじわ増えているのが、AIを「やること」ではなく「やらないこと」の整理に使うという流れです。
タスクを“足すAI”から、“引くAI”へ
ネット上では、
- 「AIで『やらないことリスト』を作ったら、人生のノイズが減った」
- 「全部大事に見えるタスクから、AIに“削る候補”を教えてもらう」
といった実践例が紹介されています。
やっていることはシンプルで、
- 自分の1日の行動や、最近のタスクを書き出す
- ChatGPTなどに「やめても良さそうな行動」を提案してもらう
- その中から、自分が納得できるものだけを「やらないことリスト」として残す
という流れです。
ポイントは、最終決定はあくまで自分が握ること。
AIは「候補を出してくれる相談相手」として使うイメージですね。
「やらない」を決めると、AIタスク管理が活きてくる
やらないことリストを先に作っておくと、AIタスクプランナー側にも効果が出てきます。
- そもそもやらないことは、タスクとして登録しない
- AIが提案してきたサブタスクの中から、「今回はやらない」ものをあらかじめ弾きやすくなる
- カレンダーに入れるべき予定が厳選されるので、AIの自動スケジューリングが現実的なものになる
結果的に、同じAIでも 「詰め込むAI」から「余白を作るAI」 に近づいていきます。
具体的な使い方:Any.do+ChatGPTのゆるい併用例
ここからは、無理なく始めやすいステップをイメージしてみます。
ステップ1:頭の中のタスクをChatGPTに丸投げする
まずは、ここ数日の「やること」「気になっていること」を、雑でもいいのでChatGPTにそのまま書き出します。
「今抱えているタスクを全部書くので、
・やるべきこと
・やめてもよさそうなこと
に分けて整理してください」
と頼むイメージです。
ここで出てきた「やめてもよさそうなこと」の中から、自分が本当に手放したいものだけを選んで「やらないことリスト」にします。
ステップ2:「やること」だけをAIタスクプランナーに渡す
残した「やること」だけを、Any.doなどのタスク管理アプリに入れていきます。
- タスク名
- 締め切り(ざっくりでOK)
だけ登録して、あとはAIにスケジュール提案を任せるイメージです。
ここでのコツは、
- 最初から完璧なプロジェクト構成を作ろうとしない
- ラベルやタグは最低限にして、「習慣化してきたら増やす」くらいにする
こと。アプリ構成に凝りすぎると、それ自体がタスクになってしまうので、最初はラフで十分です。
ステップ3:週1回だけ「やらないことリスト」を見直す
1週間に1回、10分だけ時間をとって、
- まだつい手を出してしまう「やめたい行動」がないか
- 新しく増えたタスクの中で、「本当はやらなくていいこと」がないか
を、ChatGPTと一緒に棚卸しします。
「この1週間の行動を振り返るので、
・やらなくてもよさそうな習慣
・人に任せられそうなタスク
を提案してください」
といった聞き方をすると、「削る候補」を第三者目線で出してもらいやすくなります。
注意点:AI任せにしすぎないための3つの視点
AIタスク管理と「やらないことリスト」を組み合わせるとき、意識しておきたいポイントも整理しておきます。
1. 健康・お金・契約まわりはAIだけで判断しない
AIは便利ですが、
- 健康に関する判断
- お金や投資の判断
- 契約や法律が絡むタスク
などは、専門家や公式情報と併用するスタンスの方が安全です。
「病院に行かない」「保険を見直さない」など、リスクの大きい“やらないこと”は、AIだけで決めないようにしておきたい領域です。
2. 「AIをフル活用しなきゃ」というプレッシャーを手放す
最近は「AIを使いこなしている人ほどエラい」という空気が、少しだけ強くなりすぎているように感じます。
実際には、
- 1つのタスクだけAIに任せる
- スケジュールはAI、細かいメモは手書き
のような “ちょい使い”でも十分に意味があります。
「全部AIにやらせないと損」という考え方は、結果的に自分を追い詰めやすいので、「自分の生活が少しラクになるライン」で止めるのがちょうどいいと思います。
3. アプリは“合うものだけ”をゆっくり試す
タスク管理アプリの比較記事では、無料アプリでも1ヶ月以内にやめてしまう人が多いという話も紹介されています。
合わないアプリを無理に使い続けるより、
- 気になったものを1つだけ試す
- 「続けられそうなら、少しずつ機能を増やす」
くらいのペースの方が、結果的にストレスが少なくなります。
どんな人に向いている使い方?
ここまでの話を踏まえると、「AIタスクプランナー+やらないことリスト」の組み合わせが特に合いそうなのは、次のような人です。
- やることリストは作っているのに、いつもリストが埋まったままの人
- タスク管理アプリをいくつも渡り歩いて、しっくり来ていない人
- 「全部大事」に見えて、優先順位がつけられないと感じている人
- 毎日のToDoを減らして、少しでも“何もしない時間”を確保したい人
逆に、
- タスク自体がもともと少ない
- 手帳やメモだけで、特に困っていない
という人は、無理にAIタスクプランナーを導入しなくても大丈夫です。
「今よりも、ちょっとラクになりそうか」という基準で考えてもらえれば十分だと思います。
最初のモヤモヤへの答え:AIで“足す”より“引く”タスク管理へ
この記事の冒頭で挙げたモヤモヤを、改めて振り返ります。
「AIタスクプランナーを入れたのに、やることリストが減らない」
「アプリを増やしたら、むしろ疲れた」
この気持ちに対して、私としての答えはシンプルです。
- AIタスクプランナーは、「やることを整理してくれる」ツール
- ChatGPTなどは、「やらなくていいことを一緒に探してくれる」相棒
として、それぞれ役割を分けて使うこと。
やることリストだけをAIで最適化しようとすると、「詰め込みの精度」が上がるだけになりがちです。
そこに「やらないことリスト」というフィルターを挟むことで、ようやく 「タスクの総量を減らす方向」にAIが働いてくれるようになります。
まとめ:タスクが減らないときは、AIに「やめていいこと」も相談してみる
- 2025年は、Any.doのAIタスクプランナーをはじめ、AIタスク管理ツールの機能強化が続いています。
- ただ、「やることリストが増えすぎて疲れる」という声も多く、AIだけでタスク管理を完結させるのは現実的ではない場面もあります。
- そこで、ChatGPTなどを使った「やらないことリスト」を先に作り、タスクの総量を減らしたうえでAIタスクプランナーに渡すという使い方が、じわじわ広がりつつあります。
AIタスク管理を「効率よく詰め込むためのツール」と考えると、どうしてもどこかで息切れします。
一方で、「毎日のタスクから、少しだけ余白を取り戻すための道具」と位置づければ、もっと肩の力を抜いて付き合えるはずです。
無理に全部をAIに任せなくても大丈夫です。
自分のペースで、「これだけはAIに手伝ってほしい」という部分から試していきましょう。
その小さな一歩だけでも、タスクに追われる感覚は少しずつ軽くなっていくはずです。



